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充実した人生を過ごしたい人へ「愉快な心になる本―皆さん、こんにちは」淀川長治

2002/10/09公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

感激がないということは、その日、死んでいることになる(p14)


 映画の解説者であり、最後に「さよなら、さよなら」の決り文句で有名な淀川さん。生涯独身で通しましたが、あまりに映画が好きなので映画に集中するために結婚という自分の幸せを生贄(いけにえ)として差し出したのだという。


 その代わり毎年夏になると20日間くらいニューヨークのマンハッタンでホテル暮らしをしていたというのですから、好きなことをして生きた人なのです。


・私は少年時代から映画が好きで、映画以外のことは何もやる気がしないし何もできそうにない。それで、こんな人間は映画と一緒に心中するより仕方がないと考えて、16歳の時に独身を思い立った(p97)


 この本では淀川さんの生き様というかストイックな考え方が随所に見え隠れしています。


 例えば、講演するときには自分は講演の後に死ぬのだ、と自分に言い聞かせるのだという。そうすると命をかけてその講演に打ち込むことができる。逆にそうしたほうが疲れないのだというのです。


・講演するときもこのあと私はきっと死ぬのだと自分にいいきかせることにしている。するとその講演に命をかける。二時間がまるで二十分ぐらいの勢いでしゃべってしまう。講演のあとは汗でびっしょりだ。けれども不思議なことにこのほうが疲れない(p62)


 映画とは人というものを描写した映像作品です。そして人間とは欠点だらけであり、失敗を繰り返し、いとおしく、いじらしいいきものです。


 だからこそそうした人間の喜怒哀楽を映画として記録し見る人がいるわけなのですね。



この本で私が共感した名言

・私は人によく怒るのである。ときには真赤になって怒ることもある。なぜならその人を本気で好きになりたいからである(p15)


・ある映画の中で「泣いたり笑ったりできない人は、愛することもできないわ」という言葉があった。これが心に残った(p16)


・人間はみんな自分の心の中心の七割の悪と三割の善の中に生きているかもしれない・・・九割が悪。一割が善。。その善を見つけて「いいぞ!」と叫びつづけやれば、その善はきっと元気づいて二割、三割と成長するだろう(p22)


・三年前に母を失ってからは、妻も子もない私は、天上天下この世にたった一人。ひとり住まいなので、留守中に泥棒も入ったが、何も盗るものがない。家の中は本の山なので泥棒も腹が立ったか・・・足跡だけ残して行った(p60)

・生きているかぎり、すこしでも楽をしたい、生きている限りもっと出世したい、生きている限りもっとぜいたくしたい・・・そこで一度、死んでしまう。そうするとたんに世の中すべてが楽しくなるから不思議である(p95)


・学生は理論に走り民衆は物欲どん欲に走る・・・人間の心を失った人間失格者たち(p82)


・私は「だまされるな」だとか「主義のためには血のギセイは当然だ」とか「怒りをもって立ち上がれ」とさけぶ若者の、その心のあやまちは、すべて「思いやり」の欠如からだと思う(p85)



【私の評価】★★★★☆(80点)



著者経歴

 淀川 長治(よどがわ ながはる)・・・1909年(明治42年)- 1998年(平成10年)。雑誌編集者、映画解説者、映画評論家。約32年に渡って『日曜洋画劇場』の解説を務めた。「ヨドチョーさん」「ヨドさん」「サヨナラおじさん」等と呼ばれる。


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